2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

文と理の融合

「風の旅人」4月号の茂木健一郎さんの原稿が届いた。小説のような濃密な書き出しから、科学の最先端を走る茂木さんならではの考察が展開され、それが現状分析に終わらず、祈るような思いから未来への展望へとつなげていく。茂木さんはタイトルとしては脳科…

想像力の荒れ地(続)

もしかしたら、人間は、今でも十分に想像的な生き物なのかもしれない。常に振り返りを行い、あれやこれやシミュレーションをしていて、その能力が失われたわけでないのかもしれない。 右の天秤と左の天秤にいろいろなものを載せて、そこまではいいのだけれど…

想像力の荒れ地(続)

ものごとを連想して解釈し、そこから生まれるイメージにリアリティを感じる力は、人間ならではのものであり、身体的には決して強くない人間が生きていくうえで必須の能力ではないだろうか。 危機を察する本能というのは、どんな生き物にもあると思う。でもそ…

想像力の荒れ地?

想像力の荒れ地 一昨日の夜、本橋成一さんと会って、「風の旅人」の8月号で考えているカザフスタンの人間模様の写真を選んだ後、泡盛を飲んで、いろいろ話した。 いろいろな話の中で、気になったことが一つ。それは、本橋さんが一緒に仕事をする出版社の最…

思考と形と生命力?

保坂和志さんが、2月号の新潮で「散文性の極致」というエッセイを書いています。保坂さんは、アウグスティヌスを題材に、小説のあるべき思考について自らの思考を展開しています。保坂さんにとって小説は、アウグスティヌスにとっての神を志向する運動と同…

思考と形と”生命力”?

Tit様 「風の旅人」掲示板へのコメントありがとうございます。 Titさんの言葉に刺激されて返信が長くなりますので、こちらに書かせていただきます。 図書館に置かれている「風の旅人」に、私の手紙が挟まれたままになっているといろんな方から聞いて、…

風の旅人の掲載者たち

2月1日から、青山ブックセンターとか渋谷のブックファーストなどで、バックナンバーフェアをやっていただけることで、その空間の演出などを考えた。ポスターなどビジュアルを有効に使うだけでなく、各号から心に迫る言葉を選び出し、それを拡大してボード…

日本人の可能性

今から3200年ほど前・・・ユーラシア大陸の西では、トロイア戦争で象徴される二つの世界観の闘いの後、数百年の混沌融合の時代を経て、様々な哲学者が生まれ、古代ギリシャ文明が華開き、その智恵を引き継いだローマが君臨した。だいたい紀元0年の頃で…

白川静先生の思い?

白川静先生が、このたびの文字講話の最後の20分ほどで話されたこと・・・・。 紀元前1050年頃、周によって滅ぼされた殷は、神霊との巫的交感を重視する神権政治を行っていた。そして、周は、周王(天子)が、天命を受けて天下を治め、その天子から各諸…

白川静先生の熱い思い?

1月16日(日)、京都まで白川静先生の文字講話を聞きにいった。 前回の10月の時は、けっこうお疲れのように見えたが、今回は、以前のようにとてもお元気で、魂の力に満ちあふれていた。 今回は、「金文」の話だった。いつもながら、白川先生の博大な知…

二つの”死”

7歳の息子が最近、”死”を恐れ始めた。 強盗殺人、交通事故、地震や津波のニュースを知って、自分にもそういうことが降りかかるのではないか、ということをしきりに気にする。 母親と一緒にお風呂に入っている時、突然、「家の窓ガラスを割って、強盗が入っ…

専門家と真理

浅井慎平さんとは、日曜の午後、下北沢のカフェ、マルディグラで会った。 このカフェは、下北沢に住んでいた作家の故日野啓三さんも好きなカフェで、日野さんがお元気な頃は、ここでよくお会いした。日野さんはお酒が飲めなかったので、コーヒーショップにこ…

日本人の”御墨付”好き

私の世代の写真家にとって、野町和嘉さんがヒーローなら、野町さんの世代の写真家にとってのヒーローは、石元泰博さんと言えるだろう。石元さんは、アメリカ生まれだが、幼年期、少年期を高知で過ごし、大学でまたアメリカに渡った。高知で生まれて育った野…

紛争地の事象と真実?

ここのところ、連日、異なるタイプの写真家と会う。金曜日は、村田信一さん。 土曜日は、野町和嘉さんと石元泰博さん。日曜日が浅井慎平さん。 村田さんは、戦争写真家として紛争地域を飛び回り、危険な状況のなかに果敢に飛び込んでいく命知らずの村田とし…

内面化されていく日本

昨日、「風の旅人」に連載中の酒井健さんと、Vol.13(4月1日発行)について話し合う。 テーマは、ジャポネスク。19世紀後半のヨーロッパ世界で、日本文化がどのように内面化されていったかということがポイント。 当時、ヨーロッパから見て日本は…

サイクル

シンゴさんが言うように、今日、消費メディアに“いのち”が搾取されている現状がある。でも、この場合、“消費”とはどういう状況のことを指すのか、じっくり考えなければならないと思う。 まずは、必要以外の“物”をたくさん買ってしまう状況。そして、必要以上…

暮らしを見つめる

1月3日の深夜、NHKのハイビジョン特集、「里山・琵琶湖畔 写真家・今森光彦の世界」を見た。 この映像は、琵琶湖周辺の里山の人々の生活や自然の営みを紹介したもので、胸に染み通るような美しさと、深い味わいが得られた。 正月の間、なぜか映画の歴史…

Pathfinder

「THA BLUE HERB」に限らず、現在、たとえメジャーでなくても多くの人の心を捉える表現というのは、OZETINさんの言うように、魂(生きようとする力、生き抜こうとする力)を宿らせている。 表現活動というのは、人間だけのものではなく、他の生物であ…

2005年 初参り

〜明治神宮のおみくじ(大御心)〜 「かたしとて思ひたゆまばなにごともなることあらじ人のよの中」(むずかしいからといって、為すべき事を怠るようでは、人の世の中のことは、決して成功するものではありません。世の中の事は、すべて不撓不屈の精神で、勉…

白川静様

白川静様拝啓 「風の旅人」Vol.13 生命系〜30億年の時空〜 の為にご執筆いただいた「自然という語」、早速拝読させていただきました。 自然とは文字の通り“おのづから然るもの”。 視れども見えず、聴けども聞こえない、微妙なる消息。その消息は、う…