世代を超えて繋がるようなものを


「以前、お話したことがあると思いますが、私の息子夫妻は、現在、岩手県に在住しています。 その息子に、他日、「家内の骨折で我家の庭は雑草でぼうぼう状態!」と嘆息混じりに洩らしたこともあって、この3連休を利用して、態々雑草刈りのため、来宅してくれました。そして、雑草刈りを終えて、ふと私の部屋を訪れ、書棚に「風の旅人」の雑誌があるのを見つけ、「あれ、お父さん!どうしてこの本を持っているの?」と、問い合わせて来ました。 
 問い合わされた私の方が吃驚して、「お前、どうしてこの本のことを知っているのかい?」と聞き直したら、「いや〜、この本は、有名で、僕も3〜4冊買って持っているよ」とのことでした。 その後、この本に掲載されてる写真や文章が、極めて優れていること、広告を
載せない主義であること、廃刊になったことは極めて残念であること等、二人でいろいろとこの本について話合いをし、盛り上がりました。 東北の片田舎に住む自分の息子と意外な面で共通性があることを知って、大いに驚くとともに、嬉しくもありました。
 もし、「風の旅人」の続刊の発行があるなら、私にとっても息子にとっても大変嬉しいことですが…」

 このメッセージは、直接私に届けられたものではなく、この人の知り合いの他の風の旅人の読者が、私に伝えてくれたもの。
 こういう言葉をいただくと本当に励みになる。世間には、「40代の女性をターゲットにした雑誌」などと、年齢や性別をセグメントにした雑誌は多い。広告代理店がスポンサーにプレゼンする際、そのようにセグメントがはっきりしている方が、商品とリンクしやすいからだ。とくにファッションや化粧品などは。
 しかし、風の旅人は、下は16歳くらいから90歳くらいまで読者がいたし、男性とか女性ということも関係なかった。それが一番の特徴だった。そして、例えばカフェや旅館などで風の旅人を置いてあったり、誰かが読んでいたりすると、初対面なのに、同じ読者同士、自然に対話が始まるという話もよく耳にした。
 このメッセージのように、偶然、親子が読者で、親も子供が、お互いに知らないところで風の旅人の世界を共有していたことを知り、驚きながらも、何だか嬉しいという気持ちがあり、そのことがこちらにも伝わってきて、私も嬉しい。
 このように世代を超えてつながるようなものを、これからも作って行きたいなあと改めて思った。そして自分に誓った。