コンピューターで計算した星の誕生!?

 今朝の新聞で、日米の大学が、コンピューターで計算して、最初の星の誕生を解明したと発表していた。ビッグバンから三億年後だそうだが、ちょっと信じがたい。
 その解説では、ビックバンの後、目に目えない暗黒物質ダークマター)というものがあり、それとともに水素とヘリウムのガスがまだらに漂う暗闇だったと想定し、暗黒物質の重力に引き寄せられたガスが雲状に集まって、三億年後に、雲の中心に水素とヘリウムからなる核融合で光を放つ星が生まれた、と説明されている。
 しかし、同じ誌面で、その暗黒物質ダークマター)というものが、宇宙の物質の80%以上を占めているのだが、光を出さずに目に見えず、天文学上の最大の謎の一つ、と記されている。
 最大の謎の一つで、それが存在するかどうか確認できていないにもかかわらず、そのダークマターの”重力”をコンピューターにインプットしてシミュレーションして3億年という数字を算出しているわけだ。コンピューターが計算して3億年という数字を決まったのではなく、人間がどういう数字をコンピューターにインプットするかで、3億年になるか、まったく別の数字になるか決まってくるだろう。
 この業界(宇宙の専門家)の人たちは、彼らのなかで、ダークマターは存在すると約束事を決め、その重力とやらの数値を決めているにすぎない。業界内の約束事にすぎないものを、人類の智慧のように伝えられることは勘弁してもらいたいなあと思う。
 そもそも、ダークマターというのは、宇宙空間でガスが密集しているところの回転速度を割り出して遠心力・重力の釣り合いの式を用いて質量を計算すると光学的に観測できる物質の約10倍もの物質が存在するという結果が出て、それゆえ、光を出さずに質量のみを持つ未知の物質があるということになって、それが「暗黒物質」と名付けられることとなった。
 つまり、そのガスの回転速度は、目に見える物質の重力とか遠心力だけだとつくりだせないから、目に見えない物質があるに違いないという理屈だ。
 回転速度を生み出すものが、重力とか遠心力以外、たとえば「電磁力」などがあるかもしれないということは、まったく考慮されていない。
 目に見えない物質を考え出さなくても、重力+電磁力でその回転速度か生じるかもしれないけれど、最初から、宇宙に働く力を「重力」だけと決めてかかっている。
 ダークマターを理論上必要とする理由として、それ以外にも、この宇宙空間で星と星の間が空きすぎており、星の全てを集めても宇宙の構造を維持できる重力が得られないから、きっと目に目えない質量のある物質があるに違いないなどとも言われている。
 しかし、「電磁力」というのは、「重力」とは比べものにならないくらい強い力があり、その「電磁力」のことを少し考慮するだけでも、宇宙の構造のシミュレーションは大きく異なってくる。
 いずれにしろ、「重力」だけが宇宙の構造を決定するという説に添ってつくりだされた仮定の理論上の物質がダークマターであり、その理論上の数値をコンピューターにインプットして星の誕生を決めているのは、その業界人だけの頭のなかでつくりあげた狭隘な理屈にもとずいて宇宙のことを決めているにすぎない。
 目に見えるとか、目に見えないという言い方も、何を基準にしているのか、よくわからない。
 人間の目に見えるということであれば、それは光の7色の波長のものにかぎられてくるわけで、その波長よりも長い赤外線や、短い紫外線は、存在しているけれど目には見えない。普通の人は、目に見える物質というのは、光の7色の範囲内と思うだろう。
 科学的には、肉眼で見える7色と波長の異なる赤外線も紫外線もγ線α線も、検出方法によっては目に見えるわけだから、ダークマターというのは、そうした放射線すら出さないものということになるのだろうが、そんなものが実際に存在するかどうか、誰もわからない。わからないのであれば、その事実を謙虚に認めるべきであって、さもわかっているような顔をして、数値をインプットして宇宙を算出するというのは、いかがなものなのか。
 そんな曖昧な計算結果なのに、3億年と発表された瞬間から、その数字が一人歩きを始める。
 ダークマターというのは、「重力説」を頑なに守るための理論的な砦にすぎず、「重力説」そのものが、盤石ではなく、矛盾だらけだ。
 「重力説」の代案として、これが絶対に正しいというものは無いが、他の考え方を述べている科学者も大勢いる。にもかかわらず、なぜか日本のメディアは、権威的に一番力のある人たちの説しか伝えず、知らず知らず、情報が、ある限定された範疇に揃えられているように感じられる。
 「重力説」以外の考え方もあるということで、「風の旅人」では第31号から「電気宇宙論」(エレクトリック・ユニヴァース)を紹介している。第31号(4/1発行)では、「宇宙全般」、第32号(6/1発行)では「彗星」、8/1発行の第33号では「月」、現在準備している第34号(10/1発行)では、「木星と、その衛星」を紹介する。
 今まで、宇宙論などは、「論理」対「論理」の対決だったけれど、近年、急速に観測技術が発達して、惑星探査機などからも精密な画像が送られてきている。それらの「画像」の説得力は、「論理」を揺さぶる力があると私は思う。だから、「風の旅人」では、それらの「画像」を数多く掲載して宇宙論を紹介している。いわゆる主流の宇宙論について書かれた本の多くは、ダークマターにしても理論上の産物だから、実際の画像はない。だから、イメージ上のイラストばかりだ。イメージ上のイラストは、人間が頭でつくり上げたものにすぎない。
 一方の業界人の話しだけを聞くのではなく、いろいろな考えを読み比べて判断できるような土壌が、もう少し育っていけばいいのにと思う。