2008-01-01から1年間の記事一覧

反転する世界の豊饒さ

昨日、「表現」についてあのようなことを書いたばかりなのだけど、今日、田口ランディさんが送ってくれた名嘉睦稔さんの版画集を見て、すごく驚いた。 http://picasaweb.google.co.jp/lh/searchbrowse?q=%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88&psc=F&filter=0&uname=B…

”野生”と表現

写真展や写真集、音楽、本、映画、イベントなどの情報が編集部にたくさん届けられる。 今の社会には、本当にたくさんの”表現”や”娯楽”があり、またそれらを分析したり紹介したりする”情報”があり、それらによって人間の時間が食われている。 一体なにゆえに…

”息づかい”の伝わる表現

連休前、編集部あてにCDが送られてきた。 TOMOKOという歌手と、ピアニストのphillip strange氏のデュオ・アルバムだ。 http://tomoko.syansyan.org/music.html 連休前はバタバタしていて、音楽をじっくり聴く余裕がなかったのだが、今朝は何となく音楽を聴く…

大胆な嘘・・・は、ともかく

今日、大手写真メーカーの人と会う機会があり、挨拶をすると、その人は「風の旅人は好きな雑誌で、初代の編集長のことをよく知っているよ」と言う。私は「初代って?」だったのが、どうやらMという人が、自分が「風の旅人」の創刊時の編集長だったと吹聴し…

時について、そして、これからについて

「風の旅人」第31号(4/1発行)から、「時」をテーマに編集している。 「時」に対する概念が、私たちの、人生観や世界観に大きな影響を与えていると思うからだ。 私たちは、「時」というものを改めて意識しなくても当たり前のように存在するもののよう…

実生活力!?

昨日行われた全国学力テストでは、学力を実生活に活用する力を意識した出題傾向が強まったらしい。学校で習ったことが実生活で応用できるかどうかを計るのだそうで、昨日、ニュースで、その出題を見た。 「部屋の中に机が置かれ、ドアを開けた所までの距離…

気色の悪いニュースばかり

家に帰って、テレビでニュースを見る。 怒りを通り越して、気色の悪い事件が続く。 まずは野村証券のインサイダー取引。社内のエリート部門に配属された入社1,2年の中国人社員がM&Aなどの情報を利用し、友人などと一緒にちゃっかり儲けていた。それに…

人のためになる「行い」!?

昨日の午後、両国のシアターxでロシア人演出家のレオニード・アニシモフさん演出の「銀河鉄道の夜」の演劇公演を観て、夜は、ポレポレ東中野で、田中泯さんと坂田明さんによる、舞踊とサックスの即興公演を見た。 銀河鉄道の夜は、確固たる理念を持つロシア…

人間は大きいのか、小さいのか 

土曜日に引き続き、日曜日もポレポレ東中野で行われている小栗康平監督特集を見に行った。 「眠る男」を見た後、前田英樹さんとの対談があり、この対談は、映像を主体にした小栗監督の凹と、言葉を主体にした前田さんの凸がぴったりと当てはまる素晴らしいも…

小栗映画、不自由のなかの自由

ポレポレ東中野で上映中の「小栗康平特集」で、先週までに、「死の棘」、「伽倻子のために」、「埋もれ木」を見て、今日は、「泥の河」を見た。「泥の河」は、26年前、パリで見て、その時以来、小栗映画のファンになった。「泥の河」は何度も見ているが、…

山桜とシジュウカラ

山桜がようやく満開になった。 今年の冬から巣箱を二つ桜の樹に設置して、その近くに、餌場を作ってヒマワリの種を毎朝置いていたら、シジュウカラが頻繁に訪れ、巣箱を利用するようになった。 シジュウカラは、ヒマワリの種を一つくちばしでつまむと、高い…

「事物」を見ることと、「言葉」ですますこと

言葉は大事だけど、言葉だけで事足りるものではないだろう。 なのに、今の日本社会は、どうも言葉が立派な顔をしすぎている。先週、映画監督の小栗康平さんと話している時にもそういう話しになったが、日常でも、そう感じさせられることがたびたびある。 た…

死刑と論理と情緒

3月25日、最高裁高裁第二小法廷が、袴田事件の特別抗告を棄却した。袴田死刑囚の無罪を求める再審請求は却下された。その理由を今井功裁判長は、「袴田死刑囚を犯人とした死刑確定判決の認定に合理的な疑いが生じる余地はなく、再審は認められない」と述…

負荷がかかるから、面白い

先週末、東中野のポレポレ東中野で行われている小栗康平監督の映画特集に行った。 この三週間で、今まで小栗さんが制作した5作品全てを見られる。平日は行けないけれど、週末に行って、全ての映画を見たい。 これまで見たことのある映画だけど、10年以上…

畏ろしいほど美しいもの

↑流氷を撮影する水越武さん 「風の旅人」第32号(6/1発行)で紹介する流氷の取材のため、水越武さんと知床に行く。流氷は、まだ海岸を埋め尽くしていたが、時が来れば、ほんの一時間ほどで陸から去っていくのだそうだ。今年の流氷はスケールが大きいら…

ホームページに掲示板を開設しました。

このホームページ上に、掲示板を開設しました。(左の帯のブルーの部分)たとえば、写真の投稿、ご自身の活動のPR、イベント等のPR、ご意見などがあれば、書き込んでください。*写真を投稿する場合と、書き込んだ記事を修正する必要がある場合は、新規…

自意識を軽々と超える「表現」

今朝、新日曜美術館で、アウトサイダーアートの特集を見た。アウトサイダーアートのことは田口ランディさんが既に情報発信してくれていたが、私が興味を持ったのは、番組のなかのアウトサイダーアートと、その後に紹介されていたデジタルアートの対比だ。デ…

21世紀の働き方への思い(続)

前回のエントリーで、大会社に媚びない中小企業のあり方について書いた。 そのことについて、「そういう優れた中小企業の採用なんて、めったにない。確率が低い」とか、「その中小企業の社長が、若い社員に充分な給与を与えるとか、将来の保証をしてくれない…

「21世紀の働き方」への思い

一昨日の夜、ある開発会社の創業社長さんと5時間にわたって話しをした。 その会社は、例えば自動車の速度メーターを背後から照らし出す光源などの開発会社で、日本の自動車メーカーの40%以上のシェアを持つ中小企業だ。安全性にも関わる特殊な部品なので…

横山大観と田中一村

横山大観と少し時代はずれるが、同じように、明治から昭和にかけて絵を描き続けた田中一村という画家がいる。http://www.ne.jp/asahi/yoshida/gaia/tanaka/frm.htm 田中一村は、若い頃から天才と言われ、横山大観が第一期生として入学した東京美術学校に入学…

横山大観と近代〜現代の歪み

これまで横山大観にさほど興味がなかったが、昨日展覧会に行って、いろいろ文章を書いていると、宣伝されているような「巨人伝説」などのキャッチコピーや、画壇の大御所などという捉え方とは関係ないところで興味が出てきた。 この人は、近代という時代を生…

横山大観 巨人伝説!?

今日、六本木の国立新美術館に、幼稚園の息子と横山大観展を見に行く。 午前中から行けばそんなに混んでいないだろうと思っていたけれど、すごい混雑だった。とくに高齢者の数が多く、美術を教養として楽しむ人がこれだけ多い国は、世界でもそんなにないだろ…

横山大観の続き

先ほど、横山大観の問題というより、近代以降の日本のインテリの問題かもしれないと書いたけれど、このことについては、もう少し考えてみる必要があるかもしれない。 横山大観の代表作の一つは、「屈原」とされているが、残念ながら今日の展示では見ることが…

「正しさ」の前に萎縮した社会

企業の不祥事が連日のように報道される。賞味期限、偽造、介護現場の不正請求等・・・・・。こうした報道を目にすると、私たちはとんでもない時代に生きているように思わされてしまう。しかし、実際には日本国内に無数の企業があり、その多くは誠実な仕事を…

ホームページのリニュアル

風の旅人のホームページを、一部リニュアルしました。 →http://www.kazetabi.com/ このブログも、間もなく、ホームページの一部に組み込みます。 ホームページの中は、これまでの情報は、順々に整理しています。 新しい試みとして、「WEB テーマ」を設定…

HUMAN REALITY〜色即是空〜

今日の地球上の破壊や虚無は、他の何かの備えや過剰と裏表である。 第30号 ホームページ→http://www.kazetabi.com/ 2/1に発売される「風の旅人」第30号で、「われらの時代」というテーマが終わり、大竹伸朗さんに制作していただく表紙は最後になる。…

子供は鋭い

両国ので大江戸美術館で開催されている「北斎展」のことを先日のエントリーで書いたが、二日前、私の勧めで絵が大好きな私の幼稚園の息子と妻が北斎展を見に行った。 そして、帰宅して展覧会カタログを見ながら、息子が、「知ってる? この絵のなかに、富士…

田口ランディの新作「キュア」を読む

田口ランディさんの新作「キュア」は、凄い作品だった。 言葉の力を、改めて強く認識させられた。これは、小説だが、純文学とか、エンターテイメントといったカテゴリー分けを無意味化して、田口ランディというジャンルを一つ確立しているとさえ思った。 様…

ホームページの件 続報

ホームページのリニューアルについて、だいたいのイメージはできているのですが、今の技術で何をどこまでできるのか具体的にわからないので、やっていきながら考えていくことにしました。 それゆえ、外部の方にまとめて発注するという形をとれませんので、経…

対話と自然と芸術

湯河原の温泉宿で、東北大学の北村正晴教授や、東京電力の方々、東京新聞の方々、田口ランディさん、雑誌オルタナの編集長たちと、対話合宿を行った。 テーマは、原子力発電所の推進派と反対派の間に立って北村さんが長年かけて行ってきた“対話”に関するもの…