第917回 時を経ても変わらないものの本質

910_2(撮影 水越武

 まもなく発行の風の旅人 復刊第6号「時の文」。2003年4月に創刊以来、50冊目になります。次の号で紹介させていただく水越武さんの写真は、12年前の創刊第1号も、3年前の復刊第1号にも登場しました。現代社会に泡のように現れては消える”風俗を、風の旅人は追いかけてきませんでしたが、水越さんも、現在の限られた数年に視線を注ぎはしません。そういう作業は、他の人に任せて、ご自身は、悠久の時の流れのなかに身を投じて、時を経ても変わらない世界や生命の本質に視線を注いできたのです。そういう水越さんの自然写真は、他の誰の自然写真よりも、風の旅人の空気になじみ、その空気を醸成してきたとも言えます。

 水越さんの自然写真は、暮らしのインテリアになるような、人間に都合よく解釈された自然写真ではなく、我々に深く問いかけてくるものがあります。我々が見て知っているつもりになっている世界の仕組みが、取扱説明書で説明できるような機械仕掛けではなく、もっと謎めいていて、人間の想像を絶するものではないかと気づかされるのです。水越さんは、その風貌も現代に生きる仙人のようですが、何となく行き詰まりを感じるような今日の世界のなかで、仙人の眼差しは、とても大事な何かを伝えてきます。
 風の旅人 復刊第50号は、ホームページで詳しく紹介しています。お申し込みも受付中です。http://www.kazetabi.jp/
 

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