サバイバルを生きる。

 1559040617050773


 

 この写真は、風の旅人の次号(http://www.kazetabi.jp/紹介する前川貴行さんの写真。ニホンイノシシは、多いときで8〜10頭ほど出産するらしい。母親の機嫌次第で授乳はすぐに打ち切られてしまうため、子供達は、必死に乳首に食らいつく。しかし、1年後には1〜2頭程しか生き残れない厳しい世界だ。

 今回、関野吉晴さんのマチゲンガ族のルポでも書かれていたが、マチゲンガでも、弱い子供は、感染症などで1年以内に死んでしまうそうだ。だから、1年以上生き残った子供達は強い。裸足でジャングルの中を走り回って傷ついて、そこから細菌がはいっても、膿みはでるものの、すぐに治ってしまうらしい。
 だから、マチゲンガの親も子供のことを構ったりしない。甘やかすなんてことは断然ない。小さい頃から仕事を手伝わせる。中途半端な優しさが、けっきょく子供の生命力を減退させ、厳しいジャングルの中で生きていけないことがわかっているから。
 最近の日本では、ユニクロなんかも、ブラック企業と言われているらしい。職場が厳しすぎて、新卒で入社しても三年で半分ほど退職してしまうのがその理由だ。そうやって、「あそこはブラックだよ、あんなところには行きたくないね」などと言って、楽な所を探すんだろうけれど、そういう人達の都合の良い職場なんてあるのかなあと思ってしまう。仮にあったとしても、そういう会社から求められる人材になっているのかなあと思う。もしも厳しくない会社があるとすれば、そこは、とてつもなく能力の高い人の集団で、プレッシャーなんかかける必要がなく、それでも普通の人の倍のスピードで高いレベルの仕事ができてしまうのではないかな。能力のない人の集まりで、楽チンな仕事しかしていない会社が、生き残れているとは思えない。規制に守られている官僚的企業の場合は、話は別だけど。
 でもそうした既得権のある官僚会社に入社したとしても、ぬるま湯体質のまま10年、20年やり続けて、もし社会が激動して、その職場を離れざるを得ない状況になった時に悲惨かもしれない。何にもできない人に来てくださいというところなんかないだろうから。
 新卒で入社して65歳の定年まで40年。40年間に社会に何も起こらないなどと、誰も保証できない。
 社会に出て間もない人達も、必死に乳首に食らいつくウリ坊達のように、やるしかないと思う。授乳を打ち切る母親のことを、ブラックだと揶揄して離れても、サバイバルを生きていけない。