第1157回 Sacred world 日本の古層Vol.2の完成

 

f:id:kazetabi:20210629151159p:plain

 

 新型コロナウィルスによって、この1年以上ものあいだ、世界中の人々が、これまで経験したことのない時間の中を生きています。

 天災や疫病は、人間の「理」を超えたものであり、古代から人間は、こうした人間の「理」を超えた試練に直面するたびに、世界観や人生観を見つめ直してきました。   神話が作られた時も、そういう時であり、現代まで生き続けている古典の多くは、そうした試練の中で生まれたものです。

 人間が作ったシステムは時代とともに変化しますが、自然の理は太古の昔から普遍であり、日本人は、古代から、その自然の理に沿って生きてきました。

 もののあはれ、わび、さび、はかなしといった日本人特有の美意識は、そうした自然の理に即して深まり、文化を育み、その文化が、日本人の生き様に影響を与えています。 

 現在、全精力を傾けて取り組んでいるプロジェクト 「Sacred world 日本の古層」は、今の時代、自身を見つめるために、現代という狭い枠組みを超えた視点で、人間のあり方を捉え直したいという思いが動機になっています。

  1年に一冊ずつ発行するという計画で、まもなくSacred world 2が完成します。  ホームページを公開し、ご予約を受け付けております。 →https://www.kazetabi.jp/  

 ページ数、サイズはVol.1と同じで、価格も前回同様、1冊1,000円(税込)に、発送料が300円となります。書店での販売は行わず、オンライン販売のみとなります。

 Vol.1に引き続き、写真は、ピンホールカメラで撮り続けております。

  日本の湿潤な風土の中を旅し続けていると、中近東や西欧のような一神教ではなく、自然の中に八百万神神々を見出していたということがよくわかります。

  とりわけ悠久の時を超えて存在している巨木や磐座などは、神々しいまでの気配を伝えており、古代人は、そこに人間の理を超えた世界の本質を直感的に捉えていたことでしょう。

  現代人は、自然の「理」に反した望みや欲に囚われてしまいます。それでも、人間の中には、自然の「理」に等しい原初の生命そのものの息吹も宿っています。

  ピンホールカメラはシャッターやファインダーがありませんので、人間の意識で被写体を切り取るのではなく、無意識のうちに何ものかを招き入れるという感覚の写真行為となりますが、その結果、物事の形よりも息吹や気配といった、見えるようで見えないものと反応しやすい道具なのではないかと思います。