人生

第1063回 時間の流れ

http://www.bitters.co.jp/satantango/ タルベーラ監督の『サタンタンゴ』について、さらに重要なポイントについて、考えてみたい。 7時間を超えるこの映画を構成している僅か150カットの長回しのシーンの一つひとつ。5分を超える長回しの撮影のあいだ、…

第1060回 逆境と生命力

人の苦悩には二つのタイプがあって、一つは、自分次第というもの。そしてもう一つは、自分の意思や努力ではどうにもならないもの。自分自身の病は、とても辛いことだが、その辛さを、どう受け止めて耐えるかは自分次第。しかし、愛する者の病は、祈ることで…

第1041回 病老死を遠ざけたいという、現代の屈折した病

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201902/0012086861.shtml 2019年2月22日の神戸新聞の記事によると、望ましい最期の場所を余命の短い患者らに提供する施設「看取(みと)りの家」が神戸市須磨区で計画されていることに対し、近隣住民らが反対運動…

第1031回 人生の切り替えの時

10年以上、1000回以上書き続けてきたHatena Diaryのブログが、まもなく終了し、Hatena Blogという新方式になるという通達があった。そのため、こらまで書き続けてきたブログの文章を移行した。 Hatena Diaryは、慣れてはいたものの、様々な SNSが登場し使…

第1019回 時代を超える普遍性について思う

今、銀座のニコンサロンで奥山淳志さんの写真展「庭とエスキース」が開催されている。東京では1月30日まで。大阪では、2月22日から28日まで開催される。 奥山さんは、今回の写真展のために出版社を通さず自力で作り上げた写真集の販売のため、毎日、…

第1016回 いのちを呼びさますもの

レジリエンスフォーラム(人間力=地球協働力)というのを始めることにしました。 その第一回目を、​2017年12月10(日)18:30〜20:30 、稲葉俊郎さんをゲストに迎えて行います。 心臓の専門医でありながら、西洋医学のみならず伝統医療や代替医療など幅広く…

第1009回 古きを温めて〜日本の風土と魂の行方〜

(小野妹子の古墳 滋賀県 大津市) 現代のことが気にならないわけではないし、子供を持つ親として未来のことも心配だ。 そして、政治や経済が、未来のあり方に大きく関わってくることも理解している。 しかし、それ以上に、今改めて、私たちの足元文を見つめ…

第1004回 世界でいちばん美しい村

(撮影:石川梵) 石川梵監督の「世界でいちばん美しい村」というドキュメント映画がある。日本全国で上映され、人々の心を捉えているが、6月17日から、大阪の第七藝術劇場でも公開される。 http://www.nanagei.com/ 6月19日には、13時55分からの…

第973回 競争から共創へ 利己から利他へ③ 授かった命との付き合い方

私の家から自転車ですぐ行ける範囲内で、樹齢400年くらいから1000年くらいになる木が、何本もある。屋久島など深い森の中の原始林もすごいが、京都という街中で、中世の人々の暮らしのすぐそばで生きてきた樹木が、今もそこにあるというのがすごい。 …

第961回 無意識の記憶と、人の幸福

久しぶりに高野山を訪れた。高野山では、陶芸家の三星善業さんの窯出しのタイミングと重なり、また三星さんの弟子の和田直樹君が、ちょうど窯焼きの最中で、幸運だった。http://hiraharagama.doorblog.jp/ 和田君は、この前に訪れた時とは違う窯で焼いていた…

第950回 自分ではどうにもならない困難と、自分で何とかするしかない課題

この世界には、自分ではどうにもならない困難と、自分で何とかするしかない課題がある。長い人生で、ずっと順風満帆に行くことはありえず、どこかで間違いなく苦しい困難に遭遇する。自分で何とかするしかない課題の場合は、自分を鼓舞したり気分転換をはか…

第948回 どんな現実も、自分の潜在意識の現れ

ごめんなさい 許してください 愛しています ありがとう。 (ホ・オポノポノの4つの言葉) どんな目の前の現実も、100%自分の記憶(潜在意識)の現れ。 同じことが起きていても、人によって現実の受け止め方や解釈や対応の仕方が違うのだから、その現実は、そ…

第946回 散るからこそ知る有り難み

昨日の春の嵐で、桜はかなり散ってしまったけれど、緑は、一段と濃くなった。これからが春の本番。心の辛さは残り続けているけれど、だからこそ、あの頃の何でもないような日々が、とても幸福な日々だったということがよくわかる。 辛さを経験しなければ、気…

第943回 私たちの根っこは?

昨日の朝までアルゼンチン家族が四泊していて、シーツ洗って部屋を掃除した後、12時から、グルジアのキュレイターが来て、情熱いっぱいに自分の国のことや、今取り組んでいること、未来の可能性、そして一緒に何かできないか、という話をして帰った。 アルゼ…

第936回 歳月の中で積み重ねられてきたもの

写真家が、何十年もかけて撮り続けてきた写真の作品集を、数年に1度ずつくらいの頻度で発行したいと考えています。 デジタルコンテンツ全盛の時代、簡便な方法で作ってすぐに消費される情報ではなく、歳月の中で積み重ねられてきたものから滲み出る何かに、…

第932回 肥大化した自我を、自然に還して治癒していく年に

12月上旬から試練のなかにいて、今回は、お正月を祝えるような状況ではありませんでした。でも、こういう時こそ、いろいろ学びの機会だと思っています。今まで考えていなかったようなこともいろいろ考えましたし、わかっていたつもりになっていたことも、も…

第924回 不登校をきっかけに? 教育が変わらざるを得ない時

新国立競技場や東京オリンピックエンブレム問題の責任をとる形で下村大臣が辞任した後、このたびの内閣改造で、スポーツ好きの森元首相と縁の深い元プロレスラーの馳浩氏が、文部科学大臣に選ばれた。 馳浩氏が国会議員になる時の道を作ったのが、森元首相。…

第922回 不登校をきっかけに? 対人恐怖症の自分を客観視する。

知り合いの息子の不登校の原因の一つが、対人恐怖症だ。人の中に入っていけないという症状なのだが、健康な人は、対人恐怖症になっている人の感覚がわからないから、単純に、「あの人は、人が苦手」、「人見知りが激しい」、「臆病なだけ」、「勇気がない」…

第921回 不登校をきっかけに? 思いきって環境を変える

知り合いの中学2年生の息子が、7月に不登校になって、9月の夏休み明けに学校に行けるようになったものの、一日中自習室で過ごす期間が10日ほど経った時、父親は、環境を変えることを息子に提案し、息子もその方がいいと判断し、その10日後には引っ越…

第913回 ”かたじけなさ”と、日本のかけがえのない精神風土

8月8日、今宮神社の中にある織姫社で、織姫七夕祭を斎祀ることを奉告御祭に参列した。しばらく途絶えていた織姫祭を来年から復活させることが決まり、その報告を神様にする祭りだ。 世の中には、色々なタイプの祭りがあるが、最近では地方自治体などから助…

第911回 発想の転換がなければ、同じ過ちが繰り返される。

昨夜は、祇園祭りの宵宵山。今日は、関西圏に台風が直撃するとのこと。 世に災いがある時に、それを怨霊の仕業とみなし、その怨霊を神として祀ることで災いを鎮めようとする御霊会が祇園祭りの起源だが、そういう転換の発想を、日本人は得意としてきた。 地…

第908回 死から逆算するしかない自分の生

5月26日付けのNHKニュースで、「医療費抑制へ 後発医薬品 5年後80%に」と報じられていました。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150526/k10010091791000.html 医薬品の特許が切れたあとに販売される価格の安い後発医薬品、いわゆるジェネリックの使…

第906回 陰陽分かれざりし時

風の旅人ともつながりの深い大橋弘さんの写真が、現在、新宿の伊勢丹のショーウインドウを飾っています。 これはちょっと驚きでした。ついに時代が大橋さんに追いついてきたかという感じです。 きっかけは、私が、吉祥寺の「食堂ヒトト」のオーナーである奥…

第905回 大石芳野さんの写真展「福島 土と生きる。」

川崎の「東海道かわさき宿交流館」http://kawasakishuku.jp/ というところで、大石芳野さんの写真展が開かれています。(6月14日まで) 5月30日の3時から、対談も行われます。 テーマは、「福島 土と生きる」。東京電力福島第一原発の事故で故郷を奪…

第903回 不易流行

「不易流行」に関する講演会があると誘われ、次号の風の旅人のテーマ「時の文(あや)」とも関連があると思い参加したが、特に新たな視点が得られたわけではなかった。しかし、この種の講演会や対談で新たな視点を得られることは稀であり、そうでなくても話…

第902回 狭間の好奇心

京都に来てから4回目の風天塾を終えた。バイオミミックリー(自然界の生物が有する構造や機能を模倣し、新しい技術を開発すること)の第一人者である石田秀輝さんと、自然写真家の今森光彦さん。ジャンルは異なれど、お二人には共通点がある。それは自然か…

第901回 自然と美意識〜自然から学び、人間力を磨く

第4回 風天塾開催「自然と美意識〜自然から学び、人間力を磨く」日時: 2015年4月24日(金) 開始:午後7時〜 開場は午後6時30分〜場所: IMPACT HUB KYOTO(虚白院)→ 〒602-0898 京都市上京区相国寺門前町682 電話:075-417-0115 語り手:今森…

第900回 世界によって自分が変えられないため

「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないためである」マハトマ・ガンジー テレビ朝日とNHKの幹部が、事情説明の為に官邸から呼び出…

第898回 人生や社会の旨味〜発酵の秘密〜

京都の桜はほとんど散ってしまったけれど、琵琶湖の北部は、ちょうど満開だった。総勢10名の大人の花見旅行。湖北は、現世の垢を落とす幽界のような、ちょっと妖しいところ。 湖北までの列車のなか、小泉武夫さんの”微生物の働き”に関する本を読んでいた。…

第897回 社会の風になびかず、煽られず

10年ぶりの新作映画の公開がまもなくの小栗康平監督から、映画が、ようやく自分の手を離れ、あとはプリント作業だという連絡がきた。 http://www.oguri.info/notes/ その忙しい最中、「風の旅人」復刊第5号(第49号)の感想を寄せてくれた。「復刊から…