歴史

第1281回 伊勢神宮という聖なる舞台装置

伊勢神宮 宇治橋 伊勢神宮 五十鈴川 先ほどのタイムラインの続きだが、伊勢神宮を訪れると、”つくられた聖域”という気がしてならない。 伊勢神宮は、おそらく、律令制の始まりに、聖なる舞台装置として作られたのではないかと思うのだ。 もちろん、そうだと…

第1280回 10,000年前から引き継がれている精神的イメージ

日本最古の土偶が出土した粥見井尻遺跡。背後に見えるのは烏山。 ここは、中央構造線上にある。 日本の歴史を、改めて考察し、捉え直すことが必要だと思う。 そして、その際には、最新の考古学的成果の上に、もっと地理や地勢のことを踏まえる必要があると思…

第1278回 In all chaos there is a cosmos,in all disorder a secret order.

4年前に私が撮ったピンホール写真。 (最近、井津建郎さんが撮った写真) 井津建郎さんにも許可をいただいて、井津さんが撮った写真と、私が撮ったピンホール写真を並べてアップしました。 ここにアップしている2枚の写真は、奈良の柳生の天石立神社ですが、…

第1276回 量子コンピューターの時代の思考特性とは?

花背の三本杉。(京都府京都市左京区) 3日前のイベントの後の懇親会で、「花背(京都市左京区)の三本杉のところに白鷹竜王の碑がありますが、あれは何ですか?」という質問を受けた。この偶発的で、ローカルで、普通の人にとってはどうでもよい問いから、…

第1275回 人類の時空に対する意識と、歴史のサイクル。

小樽の忍路環状列石。 11/21(月)の19:00-21:00 京都のIMPACT HUB KYOTO https://kyoto.impacthub.net/ で行うトークにおいて、どういう切り口でやろうかと考えているのだけれど、今回は、歴史というより時空の話をしようと思う。 われわれホモ・サピエンス…

第1273回 レイラインと、太陰太陽暦の関係。

生島足島神社(長野県上田市) 現在の長野県の県庁所在地は長野市だが、明治の廃藩置県までは松本市が長野の中心だった。 そして、奈良時代以前は、上田市に国府が置かれていた。 信濃川流域に位置する上田市は、四方に秀麗な形の山が見られるところで、戦国…

第1272回 文字が変えた日本人の思考特性!?

ヴァルカモニカ渓谷の岩絵。約1万年前からローマ時代までの8000年間に描かれた14万点にもおよぶ精巧な線刻画が残っている。 ジュリアン・ジェインズは、『神々の沈黙』という著書のなかで、人間がアルファベットを使い始めた時から言語野が左脳になり、それ…

第1271回 わかることと、わからないことの間

わかることと、わからないことの間の在り方について、色々と思うことがある。 先週、スタンフォード大学の学生に対する講義を行った。スタンフォード大学の学生は、自分が選ぶ海外の国において、一定期間、授業を受けるプログラムに参加できる。 私が関わっ…

第1270回 日本の神話と火山の関係

浅間山の「鬼押出し」 。1783(天明3)年の噴火の際に、浅間山の山頂から流れ出た溶岩流。 全国に約1,300社の浅間信仰の神社があるとされるが、浅間神社は、現在、富士山への信仰の神社とされる。さらに、浅間神というのは、ニニギと結ばれて山幸彦と海幸彦を産…

第1268回 日本の全ての場所に、古代の聖域がある。

ここ数ヶ月に取材を行なった岐阜や四国、房総や常陸の写真をくわえて、「ピンホールカメラで撮る日本の聖地」のサイトを更新しました。 https://kazesaeki.wixsite.com/sacred-world このサイトでは、これまで撮影してきた場所を地図で確認できるようにして…

第1267回 筑波山と、采女と、国産み神話。

今回の旅で最後に訪れたのが筑波山。 筑波の地は、東国の神々を神話的に統合していく拠点だったのではないかというのが、私の仮説。 筑波山は、標高877m、男体山と女体山の二つの頂きを持つ双耳峰だが、広大な関東平野のどこからでも、その印象的な山容が…

第1266回 北九州と常陸と四国をつなぐ国づくりの糸

大洗磯前神社(茨城県大洗町) たった一つの場所のことを書くだけなのに、その一つの場所は無数の事柄と関わってきてしまい、手短に書けなくなってしまった。あまりにも長い、一つの場所に関する取材メモ。 今回の旅で房総半島から茨城の鹿島灘を北上し、辿…

第1264回 房総半島に秘められた歴史の謎

安房神社(千葉県館山市) 7世紀、日本で律令制が整えられていく段階の時期に、8箇所の神郡が定められた。一郡全体を特定の神社の所領・神域とし、郡からの収入は、その神社の修理・祭祀費用に充てられた。 日本が一つの国として統一されていく段階におい…

第1263回 日本文化の根本原理

香取神宮 旅の記録メモのつもりでも、他の場所との関係で考えていくと、どうしても長くなってしまう。 このたび、茨城県の鹿島神宮と千葉県の香取神宮を訪問した。 現在、神社が国家の管理から離れているため、「神宮」を称するかどうかは各神社の判断に任せ…

第1261回 シベリア収容所を通して見るロシアとウクライナの現実

昨日、新宿のオリンパスギャラリーで行われている野町和嘉さんの「シベリア収容所」の写真展において、野町さんとトークをさせていただいた。 野町さんは、報道写真を撮っているわけではないので政治的な話になるのは嫌そうだったが、私なりに気になることが…

第1260回 古代海人と太陽神の関係。淡路から伊勢へ。

舟木 石上神社 淡路島の舟木にある石上神社は、小高い丘の上の巨石群が御神体となっている古くからの聖域。ここは、現代の日本とは思えない異界のような雰囲気が漂っているが、今でも女人禁制を守っている聖域である。 女人禁制だからといって、女性を差別し…

第1259回 海人と水銀ネットワークの関係

轟九十九滝(徳島県海部郡海陽町) 観光旅行と旅の違いは、前者が「点」の訪問であるのに対して、後者は「線」の移動であることだ。 「点」の訪問の場合、自分の現実世界と訪問地が二項対立の関係になるが、「線」の移動は、自分の現実世界と各訪問先が、一…

第1258回 足摺岬と室戸岬の違いと、死生観の違い。

室戸岬は、断崖絶壁の足摺岬と異なって、海と地面がひと続きになっている。 四国の室戸岬と足摺岬は、太平洋に飛び出した先端なので、同じような雰囲気のところかと思ったら、まったく違っていた。 足摺岬は、断崖絶壁の上で、海面ははるか下にあったが、室…

第1257回 四国に秘められた日本の古層と、中央構造線の関係。

神山の上一宮大粟神社から2kmほど山深くに分け入ったところに巨石を御神体とする立岩神社があるが、この巨石は、青石でできている。 魏志倭人伝に、倭人たちの風俗習慣として、体中に朱丹を塗っていたと記されている。 朱丹というのは、辰砂(硫化水銀)の…

第1256回 浦島太郎の物語と、海人の人生訓

香川県荘内半島。浦島神社が鎮座する丸山島 今回の四国の旅で、ぜひとも訪れたかった場所が、香川県の荘内半島であり、ここには浦島太郎の伝承が残っている。 浦島太郎の伝承は、日本のいくつかの場所に存在し、この物語が実際にあった場所はどこなのかとい…

第1255回 じっと見入ることと、目に見えない波動のこと。

先週、愛媛の今治でピンホール写真について講演を行なった時、会場で法螺貝を吹いた。 私が法螺貝を始めたのは、写真家のエバレット・ブラウンが、私のそばで法螺貝を吹いた時に、私の心身が強く共鳴したことがきっかけだが、エバレットもまた、私と同じく日…

第1254回 中央構造線上に古代の重要な聖域が並ぶ理由!?

中央構造線上の中郷流宮岩。 日本列島を南北に分断する中央構造線は、東の端の鹿島神宮(茨城県)から、秩父を経て長野県の諏訪、愛知県の豊川稲荷、三重県の伊勢神宮、吉野から高野山、四国山地、九州の高千穂まで、古代からの重要な聖域がズラリと並んでい…

第1253回 鬼伝説が今日に伝えているもの!?

鬼岩にある「蓮華岩」。上から見ると蓮の花に見える。また、縦7mの亀裂が、鬼が一刀両断で切ったように見えることから「鬼の一刀岩」の別名がある。 恐ろしや 次月の奥の 鬼すすき 次月というのは、古代の東山道、現在は国道21号線の岐阜県土岐市にある「次…

第1250回 自然放射線と、古代の聖域

付知峡(岐阜県中津川市付知町) 環境省のホームページで、日本地質学会による大地の自然放射線量の地図が紹介されている。 原発事故で放射線のことが大きな問題になったが、われわれの身の回りには、もともと宇宙線や大地などに由来する放射線があり、その…

第1247回 諏訪に秘められた古代の謎

(諏訪湖の朝日) 諏訪のことは、まだよくわからない。諏訪のことがわかれば、日本古代の謎が、もう少し解けるかもしれない。 謎の一つは、国譲りの神話のなかで、タケミカヅチに敗れたタケミナカタが諏訪の地を出ないことを条件に許されるのだが、そのこと…

第1245回 事物を記録することと、時間や場を記憶化することの違い

私は、ピンホール写真は、中判フィルムを使っている。 ピンホールカメラは、ファインダーもシャッターもないので、構図とか露光時間は、経験によって、だいたいこのくらいだろうと、あたりをつけて行なっている。 最初は、どの場所が写っているのか、どのく…

第1244回 多くの人は、耳を傾けないだろう話

京都市太秦 蛇塚古墳 おそらく、多くの人は、耳を傾けないだろう話。 しかし、多くの人が、自分には関係ないと思っていても、最後には自分と深く関係してくることがある。 おとといから、長男が彼女と京都観光に来ており、いわゆる名所は既に行ったことがあ…

第1243回 フォッサマグナと縄文王国

ヒスイ峡にそびえる明星山。(新潟県糸魚川市) 日本列島を南北に分断するのは中央構造線で、東の端に位置する茨城の鹿島神宮から、秩父、諏訪を通り、愛知の豊川稲荷、伊勢、高野山、四国の剣山、九州の高千穂など、日本を代表する聖域が、この中央構造線上…

第1242回 源頼朝を支えた北条時政の背後の力!?

奈呉の浦の雨晴海岸(富山県高岡市)。万葉の歌人、大伴家持は、この雨晴の風景をこよなく愛し多くの歌を詠んだ。浜から眺める岩礁と、富山湾越しに3,000m級の立山連峰がそびえる。(この日は天気が悪くて立山連峰が見えなかった)。 富山県の奈呉の海岸は、…

第1241回 記憶のリアリティと、人間の良心

7月1日に発行したSacred world VOL.3について、写真界で最も尊敬する一人である野町和嘉さんが、言及してくれた。 —------------------------------ 「風の旅人」佐伯剛さんの写真集、SACRED WORLD Vol.3が届いた。 https://www.kazetabi.jp/ 神話と史実の間…