時事

第1175回 「MINAMATA」のユージンスミスと、森永純

ジョニーデップが製作・主演の「 MINAMATA」が、京都でも観られる。 この時代に、改めて水俣のことに注目がいくことは、大事なことかもしれない。 しかし、私は、風の旅人の誌面で、ユージンスミスの写真は、日立関係のもの(高度経済成長下の日本人)を編集…

第1167回 東京オリンピックが浮かび上がらせたもの

女子バスケットボールの試合が始まってすぐ、日本の選手たちと、2mを超える選手のいるアメリカチームとの体格差が大人と子供のように違いすぎていたので、50対100くらいの点差で負けても仕方がないと思ったが、75対90と、そんなに差が開かなかった…

第1158回 熱海の土石流と、地球環境問題と、エネルギー問題の関係。

このたびの大雨によって起きた熱海伊豆山の土石流災害。 テレビニュースなどでは、数十年前に行われた盛土が原因であるかのような報道が続く。 もともと、熱海地方は、火山性の硬い黒土に覆われているが、高度経済成長時の人口増に対応するため、山間部の土…

第1156回 大坂なおみ選手の矜持と勇気について

大坂なおみ選手の会見拒否のことが話題になっている。 私は、風の旅人の中でも、色々な人のインタビュー記事を何度も掲載した。 インタビューで話を聞いても、相手の真意をきちんと捉えきれているとは限らないので、原稿にした後、必ず、相手に読んでもらい…

第1153回 これからの紙の本や雑誌作りについて。

昨日、出版業の先行きの厳しさという、かなり以前から言われてきたことについて、私なりの考えを書いたけれど、今日、「日本カメラ」を発行している日本カメラ社が会社清算するということを知った。 その理由として、コロナ禍による広告収入の減少云々と、あ…

第1152回 日本企業の因習と先行き

自社発行ではなく、他社発行の出版物でお手伝いしたのだけれど、出版業の先行きは厳しいなあと痛感。二重にも三重の意味でも。 一般的に出版社って、編集制作サイドと営業サイドが分かれていて、編集制作サイドの企画を営業サイドが確認して、発行すべきかど…

第1151回 メディアの役割

オリンピック組織委員会は、文春が報じている280頁に及ぶ内部資料(昨年4月6日付)の内容は、秘密資料であり、それを公開することは、東京2020組織委員会の業務を妨害するものであるとして、抗議している。 https://tokyo2020.org/ja/news/news-20210401-03-…

第1147回 アメリカの横暴と、大統領との関係について思うこと。

バイデン氏が、第46代アメリカ合衆国大統領に就任した。78歳というのが過去最高齢ということは知っていたが、就任式で歩く姿を見て、お年寄りの雰囲気が漂いすぎていて、少し不安になった。年齢に関係なく元気で、頭も冴えて、適切な判断ができる人もいるだ…

第1098回 総括/新型コロナウィルスの教訓。「ソドムとゴモラに追随するな。」

最近になって、感染者の数、死者の数が急激に減ってきて、専門家が脅かしていたような欧米のような事態にはならず、緊急事態宣言の全面的解除の方向に向かっている。 そして、「日本の対応がうまくいっていった理由」が、あれこれ語られたりする。そして、ま…

第1092回 恐怖の正体!?

あいかわらず日本のメディアの情報提供は画一的なままだ。 新型コロナウィルスの騒動が3ヶ月を超え、いろいろな傾向が具体的に見えてきている。そうした具体的な事実を無視して、感染が広がれば致死率の高いウィルスによって、何十万、何百万の死者数が出る…

第1084回 世界の本質?

新型コロナウイルスへの感染防止策として、世界中の産業が停止することで、二酸化炭素や二酸化窒素の排出がなくなり、大気汚染が劇的に改善されている。 大気汚染が世界最悪とされるインドでも、今まで見えなかったヒマラヤ山脈の神々しい姿が現れ、人々が驚…

第1081回 歴史的転換期の中のコロナウィルス騒動

現在起きているコロナウィルス騒動で、専門家が、もしアメリカで何も対策を講じなければ、死亡率が爆発し約1,000万人が死亡するとシミュレーションをしている。アメリカ人の約75%が感染し、4%が死亡した場合、それは1,000万人の死亡、つまり第二次世界大戦…

第1035回 人権派ジャーナリスト広河隆一氏の性的暴行について

まもなく新しい年が始まろうという時、とんでもない事実が発覚した。 人権派として知られるジャーナリストの広河隆一氏が、最低でも7人の女性への性的暴力の責任をとる形で、「DAYS JAPAN」という雑誌を発行する会社の代表取締役を解任されたと発表があった…

第1013回  政治の問題だけでなく、国民の依存体質がどれほどなのか問われる選挙でもある。

10月22日の衆議院選挙。当初は、小池人気に頼るだけの何の実績もない希望の党が、安倍政権を悪者にする戦略で大躍進するのではと期待されたが、野党が一丸となって安倍政権と戦うのではなく、仲間に入れるとか入れないのゴタゴタで、状況が大きく変わること…

第1012回 どの政党が勝つか、よりも大事なこと

選挙の結果がどう転んでも、悲しいかな、ろくなことにならないような気がしてきた。希望の党から出馬の中山成彬元文部科学相が、 首相に望ましい人物として「安倍晋三首相がいい」と、堂々と発言しているようだ。 希望の党が「安倍政権打倒」を掲げているこ…

第1011回 リベラルとは何なのか。

解散総選挙で、日本中が、政治ゲームに染まっている。 これまで何の実績のない小池党首の希望の党に、つい最近まで政権政党だった民進党が、リベラルな政治家を排除するためだと安全保障と改憲の踏み絵を迫られ、選挙に出馬できるかどうかというキャスティン…

第1005回 政治の単純化と、われわれの思考の単純化は相互関係にある。

安倍政権は、これまで、選挙に強いことが強みだったらしい。選挙に強かったから、自民党内でも、安倍一強だったようだ。 安倍政権が選挙に強かったのは、実績でも、実力でもなかった。他に受け皿がなかったこと。そして、他の政党よりも、「経済」に特化した…

第997回 格安旅行の旅行会社の倒産の裏側

東芝の1兆円近い負債のことで大騒ぎになったので、てるみくらぶという旅行会社の倒産で発生した150億円の負債は、一般の人にはとても小さくみえるだろう。 そして、このことについて、「資本主義経済をとる以上、企業の倒産は避けられない。自由競争、規…

第989回 主権の自己制限について

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、昨年3月末で7%超の東芝株を間接保有し、東芝の「隠れた大株主」だ。昨夏の段階で、年金マネーは、東芝の不正会計問題によって株価が下がったため、計130億円の含み損を抱えた。東芝は、その後、さらに…

第987回 日本の誤算(後半)

(前半)から続く 一ヶ月前、青森県の六ヶ所村に行った。その時、経済産業省の国家公務員も、元東京電力で、現在は高レベル放射性廃棄物の最終処理場を決めるために作られた原子力発電環境整備機構の社員も一緒だった。六ヶ所村の住民、六ヶ所村の再処理工場…

第986回 日本の誤算(前半)

東芝を擁護する気持ちなんてまったくないけれど、現在起きている出来事が、あまりにも矮小化されて、高見の見物のように語られているように思う。東芝の経営陣の経営センスのなさ、傲慢さ、日本人の働き方の問題など・・・。 確かにその側面もあるかもしれな…

第985回 企業トップの内面は、トップが意識している以上に企業に顕現化する。

今回の東芝のように、企業の不祥事が起こると、この記事のように経営陣の体質という分析がよくなされる。 http://diamond.jp/articles/-/117281?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor 実際に、経営の舵取りをしている人間によって企業…

第984回  自分の利己主義に無自覚な現代日本人  

トランプ大統領が、難民受け入れを禁止する大統領令にサインしたことが大きく取り上げられ、それに対して日本人が、ひどいと言っている。しかし日本はもっとひどい。 このたびのトランプ大統領の行動に対して、フランスやドイツの首脳は明確に非難をしている…

第980回 使用済み核燃料のことから原発問題を考える③

②から続く 福島原発事故は、もしかしたら80年前の満州事変かもしれないと思うことがある。あの時に止めておくべきだったのだという歴史的節目は必ずある。 集団的自衛権など改憲問題も大事だけれど、悲劇は、人々が意識できるような形で起こらない。私たち…

第979回 使用済み核燃料のことから原発問題を考える②

①から続く 原子力規制委員会は1月18日の定例会合で、九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)が新規制基準に適合したことを示す審査書を正式決定した。これで安全審査に合格した原発は全国で5原発10基となった。九電は年内の再稼働を目指している。この…

第970回 ドナルド・トランプの勝利と、資本主義の曲がり角⑦

⑥から続く ドナルド・トランプが大統領になったアメリカは、金融の資金調達力に情報技術と天然資源を結びつけて、新たな製造業の時代を切りひらき、新たな保護主義政策をとっていくのかもしれない。 そして、アメリカに限らず、イギリス連邦、EUも、グロー…

第969回 ドナルド・トランプの勝利と、資本主義の曲がり角⑥

⑤から続く 資本主義によってお金や物は増えたけれど、貧富が拡大し、人間が機械部品のように扱われる職場で働きがいや生きがいを喪失し、競争社会でストレスを抱えて鬱病など心の病に陥る人も増え、家族や地域のつながりがなくなって孤立化する人が増え、引…

第968回 ドナルド・トランプの勝利と、資本主義の曲がり角⑤

④から続く 今回のドナルト・トランプの勝利後の世界について、漠然とした悲観論や不安を軸にした分析を行う社会学者やジャーナリストは多い。 そうした分析は、もしかしたら80%は”間違いではない”かもしれない。しかし、間違いではない分析だったとして…

第967回 ドナルド・トランプの勝利と、資本主義の曲がり角④

③から続く 「ドナルド・トランプの勝利と、資本主義の曲がり角」というテーマでブログを書いてきて、昨日、そろそろまとめようと思って書き終えた途端、衝撃的なニュースが入ってきたので、まとめの前に続きを書かなければいけない。 シリコンバレーのカリ…

第966回 ドナルド・トランプの勝利と、資本主義の曲がり角。③

②から続く。 日本は、イギリスやアメリカに遅れて、製造業依存の輸出型生存戦略から、投資型へと移行しつつある。 しかし、日本は、法人税が高く、外国企業の参入を阻む規制も多く、タックスヘイブンを使ったり企業に対する税の優遇措置をとるアメリカやイ…